各症状について
浮腫み(むくみ)による歩行困難
2019/09/27
各症状について
<浮腫の原因>
浮腫の原因にはさまざまなものがあります。
全身の栄養状態が良くない時には、血管の中に水を保っておく働きのある「アルブミン」というタンパク質が少なくなっています。
すると、動脈では水分が血管の外に出やすく、静脈では血管の中に戻りにくくなります。リンパ管で排水しても追いつかない時は、浮腫になります。アルブミンは肝臓で作っているので、肝臓だけが弱っている時にもむくむことがあります。
リンパ管がうまく流れないれないためにむくむこともあります。乳がんの手術の時には、脇の下のリンパ節を取ることが多いのですが、リンパ節というのは下水管の途中にある浄化槽のようなものなので、取ってしまうとリンパ管の流れが止まってしまい、腕がむくみます。
リンパ管は壁が薄くてつぶれやすい管なので、その他にもリンパ管の流れを妨げるような状態になっていれば、浮腫が生じます。
腎臓が良くない時には、身体の中の水分を尿として外に出すことができずに、水分がだぶつきます。腎臓が原因でむくむのはこのためです。
心臓が良くない時にも浮腫は生じます。心臓がよく働いていれば静脈の血液は滞ることなく流れますが、心臓の働きが悪いと静脈の血液の流れが悪くなり、静脈の圧力が上がって組織液が静脈に戻りにくくなります。
また、リンパ管も最終的には静脈に流れ込みますが、静脈の流れが悪いとリンパ管の流れも悪くなり、浮腫を生じさせます。
予防・緩和のためのセルフケア
1. 横になる(昼寝)
起立した状態は足の静脈圧を上昇させます。ですので、第一の対策は「横になること」です。
むくみの症状が出る前に「昼寝」を行って、足の血液を心臓に戻し、静脈圧が正常になるようにリセットしてください(足を心臓より高くすると効果的)。
横になるのが無理な場合は、座る、足を上げた姿勢をとるだけでも効果があります。
2. 運動をする
足を動かすと筋肉がポンプの役割を果たし血液循環を促してくれます。
運動といっても歩く程度でよく、一歩足を動かすだけでもポンプは十分に働きます。
足の不自由な方であれば、つま先の上げ下ろしをするだけでも効果が認められます。
3. 皮膚の緊張度を高める
足に圧力のかかるストッキングを身につけると、緩んだ皮膚の張りを補うことができます。
専用の医療用ストッキングもありますが、まずは、手に入れやすい伸縮性のある包帯やストッキングでも構いません。
<浮腫み取りのマッサージ例>
体のむくみに効果があり、最近注目されているのが"リンパマッサージ"。リンパマッサージは、リンパドレナージュ(排出)とも呼ばれ、本場フランスでは理学療法のひとつとして行われています。
体には"リンパ管"という管が網目状に全身に走っていて、その中をリンパ液が流れています。このリンパ液が、体の老廃物を運び、リンパ節で老廃物がろ過され、静脈に戻ります。
リンパ管には心臓のようなポンプがありません。運動不足やストレスによる血行不良でリンパの流れが悪くなると、水分や老廃物がたまって体がむくみやすくなります。
左右の股関節骨折後、下肢の浮腫がひどくなってしまった患者様。浮腫み取りのマッサージを施術。
施術後はかなり浮腫みがひくもののまた時間が経つと戻ってしまいます。継続的なマッサージと日常生活の過ごし方、食事等を見直すことが必要です。
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