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歯周病

2021/09/10

そのほか

こんにちは、にこにこスタッフ森田です。


以前に、「朝起床後の歯磨きは、朝食前と後ではどちらにおこなうのが良いか?」といった内容のTV番組が放映されていました。
出演者の意見はどちらもあり分かれていましたが、歯科医師による解説では「どちらもおこなったほうが良い」とのことです。

しかし、朝はバタバタと忙しいことも多く、毎朝2回歯を磨くというのは大変です。
ネットで見ていると「食事前後どちらかを選ぶのであれば、朝食前に歯磨きし、食後はしっかりとうがいをする」といった意見もありますが、歯の間に食べかすなどが残っている状態も良くないように思われます。


就寝時は唾液の分泌が少なくなるため、朝起床後は、口内は乾燥し細菌の数はかなり多くなっているようです。
その状態で食事をされますと、その増加した細菌も一緒に摂取してしまうため、食前に歯を磨くほうが良いとのことです。
起床後、うがいをしっかりすることでも細菌の数は減少しますが、歯を磨くことで、歯の表面や歯肉(歯ぐき)との間に付着したプラーク(歯垢)を落とすことができます。

このプラーク(歯垢)は細菌の塊で、歯の表面に付着します。
朝起床後に口内がネバネバしている場合は、プラークが歯の表面全体に広がっています。
プラークはうがいでは落ちないため、歯磨きをして落とす必要があります。

プラークが付着したままで、そこに唾液に含まれるカルシウムなどが合わさり、石灰化してしまったものが「歯石」です。
プラークは歯磨きで落とせますが、歯石になると落とせないため、歯科医院にて除去してもらう必要があります。

プラークはすぐには石灰化は進みませんので、プラークの段階で、歯磨きでしっかり落とすことが大切です。

しかし、毎日歯をしっかりと磨いていても、徐々に歯石は付着します。
どうしても磨き残しの箇所がありますし、プラークや歯石の付きやすさは、個人差があるそうです。

プラークや歯石が付着していると、その箇所には多くの細菌が存在します。
口内には沢山の種類の細菌が存在するのですが、その中には悪影響を及ぼすものがあり、その代表例が歯周病や虫歯の原因菌です。

虫歯が進行すると歯は失われますが、歯周病の進行でも同じように歯は失われます。

プラークや歯石が溜まると、そこに歯周病菌が増殖します。
すると歯肉(歯ぐき)が赤く腫れ、歯磨きの時に出血がみられることがあります。歯肉炎の状態です。
まだ症状が軽い段階ですと、しっかり歯磨きすることで改善がみられます。
しかし、症状が進行すると、歯肉だけでなく歯を支える歯周組織に炎症が広がり、歯周病(炎)となります。

歯周組織に侵入した歯周病菌は、少しずつ内部へと入りこみ、最終的には歯を支えている歯槽骨を溶かします。
土台が溶けだすと、歯が揺れ出し、さらに悪化しますと、抜け落ちてしまいます。
虫歯は無く歯の状態は綺麗であったのに、歯周病により多くの歯が抜けてしまったという話を聞くことがあります。


もうかなり以前になりますが、CMやポスターなどで8020運動の啓発がされていました。
「健康のために80歳でも20本以上の歯を保ちましょう」といった内容でした。

自分の歯が揃っていることは、食事のし易さだけでなく、栄養の吸収にも差があらわれ、全身の健康状態に関係してきます。他に、自身の歯で噛む刺激が、脳にとっても良い影響があるそうです。


最近の研究では、歯周病菌は口内の歯周組織だけでなく、血中に入り込むことで全身へと広がり、全身の様々な病気の発症の原因となっていることがわかってきました。

例えば、動脈硬化がおきた部位から歯周病菌がみつかっています。
他に、歯肉炎の炎症物質がインスリンの働きの効果を弱め、糖尿病の発症要因の一つとなっている可能性があると考えられています。

また、ご高齢のかたにとって注意が必要な誤嚥性肺炎は、原因となる細菌は様々あるのですが、歯周病菌も含まれています。
食べ物や唾液が食道に流れず、誤って気管や肺に入りこんでしまい、そこで細菌が増殖し、肺炎となります。

予防のため、誤嚥を防ぐことが大切なのですが、同時に入りこむ細菌の量を減らすことも重要です。
実際、歯磨きや入れ歯のケアをしっかりおこなうことで、口腔内の細菌は減少し、誤嚥性肺炎の発症が下がることがわかっています。

他には、まだマウスでの研究段階ですが、歯周病菌を投与されたマウスの体内では、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドベータの増加が確認されています。


このように、歯周病が悪化したまま放っておくことは全身の健康状態にとって良くありませんので、口腔内の疾患でおさまっている間に治療し、予防していくことがとても大切です。

歯周病の要因としては、プラークや歯石、歯に挟まった食べかす、親知らず、歯ぎしりなどがあります。


殺菌効果のあるうがい薬は、口内全体の細菌の減少にはつながりますが、プラークや歯肉の間に入りこんだ歯周病菌は除去できませんので、歯石となる前に歯磨きでしっかり落とすことが大切です。

またうがい薬でうがいし過ぎると、口内の細菌全体に影響が及びます。
腸内フローラといった腸内細菌についてよく話題になっていますが、口内にも虫歯や歯周病菌といった悪玉菌だけでなく、必要な善玉菌も数多く存在しています。
殺菌力のあるうがい薬を使い過ぎると、こういった善玉菌も減ってしまいますので、注意が必要です。

歯周病の予防には、しっかりと歯磨きし、とくに夜は歯間ブラシなども用い念入りにおこないます。
そして定期的に歯石の除去など、歯科医院に通院することで、虫歯や歯周病がおきていないか確認してもらえますし、初期の段階でわかれば、治療期間は短かくすみます。
歯磨きは毎日必要で、面倒なときもありますが、全身の健康のためにもしっかりおこなっていきましょう。


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