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カビ

2021/07/16

そのほか

こんにちは、にこにこスタッフ森田です。


一時期、インドにて新型コロナウイルスの感染が大きく広がり、連日ニュースで報じられていました。
感染により肺炎などを発症し、多くのかたが亡くなりました。
地方の都市では、不十分な医療や衛生状態の悪さから、多くの二次的な被害もあったようです。

その一つに真菌感染症である「ムコール症」の感染拡大がありました。

真菌感染症とあるのですが、カビやキノコ、酵母などの仲間が真菌類に含まれます。
細菌との違いは、真菌類では遺伝物質である染色体DNAが膜で包まれており、一方の細菌では、染色体DNAは裸の状態で細胞内に存在します。

ムコール症を発症させる真菌には様々な種類がいるのですが、大きくはカビのグループに含まれます。
この原因となるカビ群は、土の中や空気中、腐った野菜や果物など、日常のいたるところに存在しています。

通常では、このカビに感染し発症することはほとんどないのですが、新型コロナウイルス感染が爆発的に拡大し、十分な医療がいきわたらなくなった事により、ムコール症が広がったようです。
原因としては、コロナウイルスの治療のためのステロイド剤の使用量が適確にコントロールされなかったため、過度の免疫抑制がおき、ムコール症の発症につながったと考えられています。
また、ムコール症を発症した多くの患者は、糖尿病の既往があったようですので、原因としては、免疫の低下が影響していると思われます。

ムコール症には治療薬がありますので、早期に適切な治療をおこなうことが重要ですが、コロナ感染が広がり過ぎたため、他の治療にまで手が回らず、多くの死者が出たようです。


日常いたるところに、様々な種類のカビや細菌は存在しますが、一般の健康な人は免疫が働いているため、多くのカビや細菌の存在は健康には影響しません。
ところが、病気や薬剤により過度に免疫が低下した状態では、感染し発病することがあり、「日和見感染」と呼ばれています。

普段身の回りに存在するといっても、細菌は目には見えませんが、カビは目にすることがあります。

カビの仲間は多岐にわたり種類が多く、生物学的に明確に定義・分類することは難しいようですが、基本キノコや酵母は、カビとは区別すると考えられています。
カビの特徴としては、糸状の菌糸からなり、胞子により増殖します。

とくに、この梅雨時期から目にすることが多くなってきます。
梅雨時期は、湿度・温度ともに高く、カビにとっては大変生育しやすい環境となります。
多くのカビは、気温・湿度が20~30℃・60%以上、そこに栄養源があると発生しやすく、湿度が80%以上になると増殖が加速します。

カビは食品だけでなく、衣類やカバン・畳・押入れ・浴槽などいたるところで繁殖します。
しばらく使用していなかったエアコンの内部でも増殖します。

温度・湿度が高くなると、どうしても繁殖しやすくなるのですが、できる限り防ぐ方法としては、掃除と換気をこまめにおこなうことが効果があるようです。
浴室は、換気乾燥させることで湿度を下げ、掃除することでカビの付着を防ぐことができます。
また、リビングなど室内では、ほこりに多くのカビが付着していますので、掃除することでカビの数を減らすことができます。

浴室用のカビ取り剤がありますが、カビの菌糸が奥のほうに入りこんでいる場合には、完全に除去することは困難となります。
普段から、入浴後は換気し、すぐに掃除できないときは水のシャワーで壁面や床を流し、室温を下げることでカビは発生しにくくなります。


通常健康な人には、白癬菌など一部を除き、感染することはありません。
しかし、食中毒やアレルギーの原因となるなど、人にとって有害なカビも存在します。

・カビが産生するカビ毒はマイコトキシンと呼ばれ、300種類以上確認されています。
食中毒菌の増殖と異なり、加熱調理しても熱分解されにくいため、注意が必要です。

・浴室や台所の排水口で発生頻度が高いエクソフィアラと呼ばれるカビは、傷口から侵入し、人に害をもたらすことがあるようですので、掃除するときは、ゴム手袋をつけたほうが良いそうです。

・一方、浴室や台所など水回りでよく目にする、ピンク色のカビのようなものは、ロドトルラと呼ばれ、カビとは異なり、酵母の仲間のようです。
カビのような毒性はないようですが、繁殖力がカビよりも強いため、掃除をこまめにおこなわないと、すぐに発生します。
放っておくと、色素が残って取れなくなることもありますので、掃除し水分を残さないことが大切となります。


梅雨時期など、カビはとても嫌な存在ですが、人の生活にとって有益な働きも多くしています。

ブルーチーズはアオカビを用い熟成し、香りや風味が備わります。
昔から日本で作られる日本酒、味噌、醤油は、カビを穀物で培養させた麹を用い、発酵させています。
かつお節の製造工程でも、カビをつけることで、水分を飛ばしカラカラに乾燥させます。

抗生物質で有名なペニシリンは、アオカビの分泌物より発見されました。
ペニシリンにより、破傷風や猩紅熱、梅毒などの感染症から、多くの患者が救われました。


目には見えていないですが、カビや細菌は、日常身の回りに沢山存在しています。
しかし、免疫がしっかりと働き、体が守られているため、多くの人は問題なく健康に生活することができます。

カビや食中毒の原因菌などを増殖させないこと、そして自分自身の免疫力を高めること、これから気温・湿度がますます高くなっていきますので、改めてどちらも大切であると思いました。


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