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食中毒3
2022/03/04
そのほか
こんにちは、にこにこスタッフ森田です。
食中毒の原因となる病原体として「細菌」「寄生虫」について書いてきたのですが、この冬場に注意が必要となるのは「ウイルス性」の食中毒です。
- ・ノロウイルス-毎年、多くの発生件数・患者数が報告されています。カキなどの二枚貝に多く存在し、生食により発生します。また感染力が非常に強いため、患者の便や吐物からの2次感染も大変多くなっています。症状は嘔吐や下痢、発熱になります。症状が治まった後も、便にはウイルスが数週間排出されるため、注意が必要となります。アルコール消毒の効果は低いとされており、かわりに次亜塩素酸ナトリウムが有効とされています。
- ・ロタウイルス-乳幼児期に感染しやすいウイルスです。ノロウイルスと同様に、感染力が非常に強いといった特徴があります。症状は下痢(白色様便)、嘔吐、発熱です。初めて感染したときは、症状が強くあらわれます。しかし大人の場合は、若いときに何度も感染を繰り返しているため、症状があらわれないことも多いそうです。ロタウイルスには、乳幼児期に接種できるワクチンがあります。アルコールによる消毒の効果は低いとされています。
- ・アデノウイルス-一般的なかぜのウイルスであり、呼吸器や目に症状があらわれることがあります。子供に感染が多いプール熱の原因ウイルスです。胃腸炎症状は乳幼児期に多くみられます。症状は下痢、嘔吐、軽度の発熱です。
- ・A型肝炎ウイルス-汚染された水や食品を摂取することで感染します。衛生環境が悪い発展途上国などでは多くの感染者が報告されています。アルコールによる消毒効果は低いとされています。潜伏期間が平均4週間と長く、症状としては発熱や倦怠感、黄疸、肝腫大、白色便といった肝炎症状がみられます。
- ・E型肝炎ウイルス-ブタやシカ・イノシシなどの野生動物の肉・内臓の生食による感染が報告されています。潜伏期間が平均6週間と長く、発熱や腹痛、吐き気、黄疸、肝腫大といった肝炎症状があらわれます。まれに劇症化することがあるため注意が必要です。ブタや野生動物の生肉・内臓には、他の細菌や寄生虫も多く存在するため、とくに加熱調理が望まれます。
毎年多くの患者数が確認されているノロウイルスは、とくに冬場に流行します。
風邪やインフルエンザが冬場に流行するように、原因となるウイルスの生存には、低温・乾燥状態が適しています。
- ・湿度が低く空気が乾燥していると、ウイルスは空中に舞いやすくなります。反対に湿度が高いと、ウイルスは空気中の水分といっしょに地面に落下しやすくなります。花粉が雨の日は舞いにくく、花粉症症状が軽減するのと似ています。
- ・湿度が下がると、人の喉や鼻腔の粘膜も乾燥します。粘膜が乾燥すると、病原体などの異物に対する防御の働きが低下してしまいます。その結果、ウイルスにも感染しやすくなります。
- ・ノロウイルスの場合は、冬場がカキの旬であることで、食される機会が多いことも関係しています。
細菌の中には、熱に対して強いものも存在しますが、食中毒の原因となるウイルスは、家庭での加熱調理により死滅しますので、予防の基本は加熱調理になります。
ノロウイルスやロタウイルスは感染力がとても強いため、2次感染にも気をつける必要があります。
魚介類や生肉に触れた素手や調理器具を洗う、まな板や包丁を使い回ししないことも大切です。
また、感染した患者の便や吐物を処理する時にも注意が必要です。
ウイルス感染後は、安静にして自然治癒するのを待ちます。状態が悪化・重症化した時は入院措置がとられますが、現在これらのウイルスに対する抗ウイルス薬はないため、自身の体力・免疫力による回復を待つ必要があります。
おう吐・下痢症状が続くことで脱水症状になるおそれがありますので、水分摂取が大切です。
悪化しなければ症状は数日で治まりますが、ノロウイルスでは、数週間便からウイルスが排出されますので、同居されているご家族の2次感染予防が重要となります。