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腸内フローラ7

2022/05/06

そのほか

こんにちは、にこにこスタッフ森田です。


腸内細菌の集合体である『腸内フローラ』ヒトだけでなく、他の動物の腸内にも存在しています。
マウスにも腸内フローラはみられ、腸内細菌の働きを調べるためマウスを用いた多くの研究がおこなわれています。

この腸内細菌は誕生後、外部環境との接触により取り込まれ住み着いていると考えられており、腸内フローラのおおまかな種類や比率は幼少期に形作られます(最近の研究では、胎児の腸内に細菌の存在が確認されています)

牛は草食動物ですが、実際近くでみると筋肉量が多く、相当な筋力があります。
草の食物繊維(セルロース)の消化・代謝に関わっているのは、牛の場合は「腸」でなく「胃」に住み着いている細菌です。
牛は内臓の構成がヒトとは大きく異なり胃が4つあります。その胃に細菌や微生物が大量に生息しており、摂取した草を分解し、消化・吸収を助ける働きをしています。
また驚いたことに、この常在菌・微生物自体を消化・吸収しており、重要なたんぱく源となっているそうです。
牛の大きな体を作り上げるには、腸(胃)内細菌はなくてはならない存在となっています。

北米に生息するジリスの腸内細菌を調べた研究があります。
ジリスは冬の間半年近く冬眠します。冬眠中は絶食状態ですので、体の代謝機能を下げることでカロリー消費を抑えています。
しかしカロリー消費をゼロには出来ませんので、少しずつ筋肉を分解することで必要なエネルギーを作りだす必要があります。
ただし筋肉の分解が進み過ぎると、冬眠明けに筋量・筋力が大幅に低下し、行動に悪影響するおそれがあります。
極端に衰弱してしまうと他の捕食動物に簡単に捕まってしまいますが、実際は冬眠明けも問題なく動き回れるようです。

調べていくなかで、ジリスにも生息する腸内細菌が関係していることがわかってきました。
筋肉が分解されるとアンモニアが生じます。通常はこのアンモニアから尿素がつくられ、腎臓を経て尿として排出されます。
しかし冬眠中のジリスの体内では、腸内細菌の働きによりアンモニアを再利用しアミノ酸→たんぱく質が生成されており、これにより筋肉の分解が抑制されているのでないかと考えられています。

この仕組みをヒトの筋力・筋量低下予防に応用できないか、研究が進められています。
加齢にともない、徐々に筋力は低下します。また、長期の入院生活でも筋力は大きく低下します。
筋肉の分解速度を抑制することができれば、その後のリハビリの効果を高められるのでないかと期待されています。

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