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SFTS2
2022/08/19
そのほか
こんにちは、にこにこスタッフ森田です。
最近度々ニュースで報道されている『SFTS』ですが、マダニが保有している病原体に大きな問題があります。
マダニに咬まれたあとには、痒みや痛みといった皮膚症状があらわれます。しかしハチのようにマダニ自体には毒はありませんので、病原体がなければ皮膚の炎症ですみます。
マダニが原因となる感染症には、現在問題となっているSFTSだけでなく他にもいくつか存在しており、回帰熱やダニ媒介脳炎・ライム病・日本紅斑熱などがあります。
日本紅斑熱の原因となる病原体はウイルスでなくリケッチアと呼ばれる微生物です。以前はリケッチアはウイルスに近い微生物と考えられていました。しかし生態の特徴が解明されるにしたがい、より細菌に近い微生物であることがわかってきました。
このリケッチアが病原体となる感染症には、他にツツガムシ病というものがあります。ツツガムシとはマダニの一種です。
SFTSと違いこれらは昔から感染が報告され、知られています。
とくに日本紅斑熱とツツガムシ病は毎年数百名の感染者が確認されており、死者も出ていますが、抗生物質など治療薬があります。
一方、SFTSには現在のところ治療薬やワクチンがないため、対症療法しかありません。そのため発症すると致死率が10~30%とかなり高くなっています。
但し、年間の発症数(報告数)は100件前後ですので、一般的な感染症と比較すると感染者はずっと少なく、極端に心配する必要はないかと思われます。
マダニには多くの種類が存在します。どの種類のマダニがどの病原体を保有しているのかは、現在も研究が進められています。
SFTSウイルスを保有しているマダニは、現時点で数種類確認されています。例えば、キチマダニはSFTSの他に日本紅斑熱や野兎病の病原体を保有していることがあります。また、フタトゲチマダニではSFTS・日本紅斑熱の病原体が確認されています。
全ての個体が病原体を保有している訳ではないので、例え咬まれたとしても皮膚症状のみですむこともあります。しかし、SFTS以外の感染症でも重症化する場合がありますので、マダニやツツガムシに咬まれること事態を避けることが賢明です。
SFTSの症状は、発熱や腹痛・下痢といった消化器症状、筋肉痛、頭痛、全身倦怠感などがみられます。6~14日間と発症するまでの潜伏期間は長めです。
ハチに刺される時と異なり、マダニに咬まれている時には痛みがありません。口器とよばれるものを皮膚に突き刺し吸血するのですが、同時に麻酔状の物質を出します。
数日~長いものでは10日間以上吸血を続けるようです。マダニは吸血によりサイズアップしかなり目立ってきますので、そこで初めて咬まれていることに気づくヒトが多いそうです。
しかし無理に引き剝がさないほうが良いとされています。皮膚に口器を突き刺し、更にそれを固定させるような物質を分泌しているため、無理に引き剝がすと口器が残ってしまったり、手で掴む時にマダニの体液が逆流してしまうおそれがあります。ピンセットで口器ごとしっかり取り除く必要があり、行政のホームページでは、医療機関(皮膚科など)で取ってもらうよう推奨されています。
山に生息するヒルに吸血された場合は、ライターの火を近づけたり、塩水やアルコールを吹きかけると簡単に剝がれますが、マダニはそのような方法は効果がありません(ちなみにヤマヒルに吸血されても、寄生虫や感染症の心配はないようです)
最近、北海道でエゾウイルス熱といった新たな感染症が発見されました。こちらも原因となる病原体(ウイルス)をマダニが媒介します。この原因となるウイルスは、生物学的にクリミア・コンゴ出血熱ウイルスに近い種とされています。
クリミア・コンゴ出血熱は中東や中央アジアなどで発生がみられます。現在、効果的な治療法が確立されていないため、発症後の致死率が15~40%ととても高くなっています。
キャンプやアウトドアでは、何よりもまずマダニに咬まれない事が大切です。
マダニに効果的な虫よけスプレーもあります。また、マダニが生息していそうな場所に行くときには、長ズボンや長袖のシャツ、ハイカットの靴を着用することが効果的です。