ブログ・お知らせ

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2022/09/02

そのほか

こんにちは、にこにこスタッフ森田です。


屋外やアウトドアでの活動をおこなう上で、ヒトに被害をもたらす注意が必要な生き物が数多く存在します。
基本的には人があまり入らない山奥や自然の中で生息している場合が多く、実際に遭遇する機会はそれ程ありません。但し中には都心部など人間の生活圏内と重なっているものも存在し、その最も代表的なものが『蚊』です。

『蚊』はこの世界において最もヒトを死亡させている生き物です(ウイルスや細菌などの微生物を除きます)
蚊に刺されることにより、毎年75万人以上が亡くなっています。実際は蚊に刺されることが直接の死因ではなく、蚊が保有している病原体の感染により亡くなっています。
蚊は多くの感染症を媒介しますが、その中で最も被害が大きいものがマラリアです。他デング熱やウエストナイル熱なども世界中で多くの感染者を出しています。

蚊が媒介する感染症による死者の多くは、気温と湿度が高い熱帯・亜熱帯地域の人々です。特に医療・衛生環境が不十分なアフリカ諸国では、マラリアによる死者がとても多くなっています。

  • マラリア-ハマダラカが保有する原虫が病原体となります。このハマダラカに刺されることで感染します。日本でも、南の地域では戦前に感染が流行したそうですが、現在は国内での発生は確認されていません(海外で感染し、帰国後発症するといった輸入性の症例は報告されています)。しかし最近は、日本の年間平均気温が上昇しているため、ハマダラカが生息できる環境へと変化するのではないかと心配されています。但しそれにより、日本国内でマラリアの流行がおきるとは限らないそうです。治療には抗マラリア薬が用いられます。また抗マラリア薬には感染予防の効果があります。

  • デング熱-原因となる病原体はウイルスです。ネッタイシマカやヒトスジシマカ(ヤブカ)が媒介します。ヒトスジシマカは日本にも数多く存在しますが、過去数十年日本国内での感染報告はありませんでした。しかし2014年に、東京代々木公園周辺で感染したと思われる事例が多数報告され、ニュースでも報道されました。ここ最近は世界的に感染が拡大しており、年間で1億人以上が感染しています。気候変動による平均気温の上昇に伴い、媒介する蚊の生息地域が拡大している事が関係していると考えられています。マラリアを媒介するハマダラカは自然環境が多い場所に生息しています。一方、デング熱を媒介するヒトスジシマカは都市部でも生息可能なため、これ以上気温が上昇した場合には、マラリアよりデング熱のほうが流行しやすいとも言われています。

  • ウエストナイル熱-アフリカで初めて確認された後、世界中に大きく拡大しました。原因となる病原体はウイルスになります。現在日本では、輸入性以外の感染は確認されていません。重症化率はそれ程高くは無いのですが、デング熱と同様に治療は対症療法となり、まだワクチンも確立されていません。媒介する蚊が多種にわたるため、一旦日本に持ち込まれると流行が拡大するのではないかと心配されています。またカラスなどの鳥が、このウイルスを保有している場合があります。

蚊が媒介する感染症としては、他に日本脳炎・黄熱・ジカウイルス感染症などもあります。
またイヌが発症するフィラリア症も蚊が媒介する感染症です。イヌを飼っている人は、毎年予防薬を飲ませる必要があります。予防薬は感染を防いでいるのではなく、体内に侵入した幼虫を駆除する働きがあるそうです。確実に予防薬を飲んでいれば、フィラリア症はほぼ100%防ぐことができます。

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