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中性脂肪

2022/12/30

そのほか

こんにちは、にこにこスタッフ森田です。


脂質異常症を診断する上で、健康診断では血液中の『中性脂肪』の量を調べます。他に、「LDL/HDLコレステロール」の量も同時に調べます。
どちらも血液中に存在する脂質ですが、大まかな特徴としてコレステロールは人の体を構成する材料となり、一方の中性脂肪はエネルギー源としての役割があります。

中性脂肪はトリグリセリドとも呼ばれています。基準値内であれば問題ありませんが、増え過ぎてしまうと体脂肪(内臓脂肪や皮下脂肪)として蓄えられます。
人の活動時は、主に糖がエネルギー源として利用されます。糖は血中や筋肉・肝臓に存在し、それを利用することで活動に必要なエネルギーを生み出します。
しかし貯蔵量はそれ程多くないため、長時間の運動や活動により消費されてしまうと不足します。
そこから更に運動や活動を続けると、脂質が主なエネルギー源として利用されます。すると血中の中性脂肪や体脂肪が分解・消費されます。とくに有酸素運動が中性脂肪・体脂肪の減少には有効です。


健康診断の結果、中性脂肪の値が基準値を超えているかたは多いのではないでしょうか。
中性脂肪は直近の生活スタイルが数値に反映されやすく、計測時の体の状態により変動の幅が大きいといった特徴があります。年齢が若い人でも、検査前の数週間、食べ過ぎ・運動不足といった生活が続いていると基準値を超える場合があります。
また空腹時もしくは食後に計測するかどうかで、数値に大きな差がみられます。一方、生活習慣を見直すことによって比較的改善しやすい項目でもあります。

中性脂肪は直接は動脈硬化に影響しないとされており、以前はLDL/HDLコレステロールと比べ、中性脂肪の数値は軽視されていました(最近の研究では、中性脂肪も動脈硬化の直接的な要因となっている可能性が高いようです)
しかし中性脂肪の量が多い状態が続くと、LDLコレステロールが増加し、反対にHDLコレステロールは減少することがわかってきました。
LDL/HDLコレステロールの数値の悪化により『動脈硬化』のリスクは高まります。結果として中性脂肪の値が高い状態が続くと、間接的に動脈硬化のリスクへとつながります。

また最近注視されている小型LDLコレステロールは、中性脂肪の数値が高くなると、それと比例し増加すると言われています。
小型LDLコレステロールは「超悪玉コレステロール」と呼ばれています。通常のLDLコレステロールより血管に及ぼすダメージが大きく、動脈硬化のリスクが更に高くなるため注意が必要です。

血中の中性脂肪が高い状態が続くと、内臓脂肪や皮下脂肪の増加による悪影響があります。内臓脂肪が増加すると脂肪細胞から炎症を誘発する物質が放出され、『慢性炎症』の原因となります。
炎症には「急性的」な症状と「慢性的」にみられるものがあります。
例えば転倒し怪我をした時には、傷口の痛み・発赤・熱感・腫れといった症状がみられますが、これは急性炎症にあたります。
また風邪をひいた時には発熱しますが、これはウイルスの侵入により体内で急性炎症が起きているため生じます。一般的に急性炎症では強い症状がみられますが、重篤化しなければ早くに回復します。

一方の慢性炎症は、内臓や血管などで軽い炎症が起きている状態です。炎症の強度は強くないため、痛みや発熱といった自覚症状があらわれず気付くことがないのですが、長期間続いてる場合があります。
最近の研究では、長期にわたり慢性炎症が続くことで、動脈硬化・2型糖尿病・がんなどの発症につながるとされています。
慢性炎症が起きる原因としては、血液の高血糖状態・お酒の飲み過ぎ・喫煙などですが、内臓脂肪の増加も関係しています。中性脂肪が増え脂肪細胞が膨れ上がると、炎症を誘発する物質が放出され慢性炎症の原因となります。

また中性脂肪が高い状態を放置すると、肝臓にも蓄積され「脂肪肝」となるリスクがあります。最近はお酒を飲まない人の「脂肪肝」が増加しています。脂肪肝が進行すると、肝炎や肝硬変を発症する場合がありますので注意が必要です。
中性脂肪の数値は比較的改善しやすいですので、慢性的に高い値にならないよう早い段階で対処することが大切です。

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