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人体の抗酸化機能

2023/04/07

そのほか

こんにちは、京都の訪問マッサージにこにこスタッフの森田です。


人は生きている間は必ず「呼吸」します。体の細胞が代謝をおこなうには酸素が必要不可欠であり、酸素がないと生きていけません。
しかし取り入れた酸素の一部は酸化作用が強い『活性酸素』へと変化し、細胞を傷つけることがあります。そうすると体に様々な悪影響をもたらし、生活習慣病やガン、また老化の原因になるとされています。

悪玉コレステロールとよばれるLDLコレステロールが血液中に増え過ぎると脂質異常症と診断されます。
脂質であるLDLコレステロールは元々酸化しやすい性質があるのですが、血液中のLDLコレステロールが多くなり過ぎると、より活性酸素の影響を受けやすくなり酸化が進みます。酸化したLDLコレステロールは血管壁を傷つけたり、付着し血管内腔を狭めるといった作用があるため、動脈硬化の進行につながります。

人は寝ている間も呼吸を続けていますので、活性酸素は日々発生し続けます。
しかし、人の体には生まれつき活性酸素を抑え除去する抗酸化機能(抗酸化防御機構)が備わっています。年齢が若い時は抗酸化防御機構がしっかりと働いているため、多少活性酸素が発生したとしても体は守られています。ただし加齢とともにその抗酸化機能は衰えていき、活性酸素による影響を抑えきれなくなります。
また、紫外線や大気汚染・酸化された食品の摂取・ストレス・過度な運動といった要因が、活性酸素の発生を増加させます。そうすると過剰に発生した活性酸素により細胞がダメージを受け、生活習慣病などの発症リスクが高まります。

一方、食品に含まれる栄養素の一部には活性酸素による酸化を防ぐ作用があり、抗酸化物質とよばれています。代表的な抗酸化物質としてビタミンA・C・Eポリフェノールなどがあります。抗酸化物質を多く含む緑黄色野菜や果物などを積極的に摂取することによって、様々な疾患の予防につながることがわかっています。

活性酸素により酸化された状態を「体が錆びる」と表現することがありますが、それだけ人体にとって有害と考えられています。しかし活性酸素の作用はそれだけではありません。
体には細菌やウイルスといった異物に対する免疫機能があります。
その免疫機能の一つである白血球は、感染症の原因となる細菌が体内に侵入するとそれを捕食します。ただし白血球が捕食した細菌はまだ生きており、増殖を続けようとします。それに対し白血球は活性酸素を発生させ、その活性酸素で細菌を殺菌します。
人は感染症から身を守るために、自身の体内で活性酸素を作り出しそれを利用しています。

またガンに対する放射線治療においても、活性酸素の働きが利用されています。
ガン細胞に放射線を照射することにより、細胞のDNAに傷をつけ細胞の増殖を抑えます。同時に照射によりガン細胞内に活性酸素が発生します。その活性酸素もガン細胞のDNAを傷つけるため、細胞の増殖を抑える効果が高まります。

マウスでの研究になりますが、ガンを発症したマウスに抗酸化物質を投与したところ、ガンは抑制されず却って進行してしまうといった意外な結果が報告されています。
活性酸素は健康な細胞のDNAを傷つけるため、ガンや老化の原因になるとされています。したがって通常では、抗酸化物質の投与により、活性酸素が低減しガン細胞の発生を防ぐ効果が期待されます。
しかし一方では、活性酸素が体内のガン細胞を攻撃することによって、ガン細胞の増殖を抑制している可能性もあるようです。

このマウスの研究では、抗酸化物質の投与により体内の活性酸素は減少したのですが、その活性酸素によるガン細胞の抑制作用が失われたために、却ってガン細胞が増殖したのではないかと推察されています。
ただしまだ一部の研究であり、またマウスと人では作用機序も変わりますので、別の研究では異なった結果となるかもしれません。

体内の活性酸素が過剰になると悪影響を及ぼすことがわかっています。しかしかつては「人にとっては有害でしかない」と考えられていた活性酸素ですが、体内にも多少は必要となるようです。活性酸素の作用や影響については、これから更に多くの研究が進められることが期待されます。


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