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疲労とクエン酸

2023/04/21

そのほか

こんにちは、京都の訪問マッサージにこにこスタッフの森田です。


長時間の作業や運動の後には「酸っぱいもの」を食べると疲れが取れやすいと言われています。
夏場など体を動かし汗をかいた時は、柑橘系の果物や飲み物はとても美味しいですし、口の中がさっぱりして爽快です。
また夏バテ気味で食欲が低下している時であっても、酢の物や柑橘類などは食べやすく食が進みます。日本では梅干しが昔から食べられており、薬理作用があると考えられていました。

レモンなどの柑橘類・梅干し・酢などの酸っぱい食品には『クエン酸』とよばれる酸味成分が含まれています。
クエン酸摂取による体への作用・効果を調べるための研究は沢山おこなわれていますが、その有用性についての結果は様々であり、疲労軽減効果の有無に関してはまだ明確な結論が出ていないようです。
ある研究では、クエン酸を摂取した対象グループは、そうでないグループと比べ運動後の血液中の乳酸濃度が低下していることが確認されました。その結果から、クエン酸の摂取が体の疲労軽減・早期回復につながるのではないかと考えられました。

研究の進歩とともに日々新たに解明されることが沢山あり、これまで定説とされていた事柄が実際は違っていることがあります。「乳酸」はそのような認識が大きく変わった事柄の一つだと思われます。

少し以前までは「乳酸」の蓄積により運動後の筋肉の疲労や痛みがおきると言われていました。そのため、ストレッチやマッサージ・入浴により血行が促進し「乳酸」が除去されることによって、筋疲労の回復・筋肉痛の軽減につながるとされていました。
実際に血行が促されることによって、疲労の早期回復や筋肉痛の軽減に繋がります。
しかし最近の研究では、疲労や筋肉痛と「乳酸」の蓄積には関係がないのではないかと考えられています。

昔おこなわれた研究において、負荷が強い激しい運動後に乳酸濃度が上昇することが確認され、「乳酸」が疲労をもたらす原因物質ではないかと言われていました。そのため筋疲労・筋肉痛を軽減させるには、乳酸濃度を低下させることが重要であると考えられてきました。
しかし研究が進むにともない、「乳酸」が疲労の進行を抑えている可能性があることがわかってきました。また「乳酸」はエネルギー源として体内で再利用されているのですが、新たに血管が作られる時や傷が治癒する時にも関与し作用していることが確認されています。

運動後の老廃物と考えられていた「乳酸」ですが、実際は運動時の筋疲労を防ぎ、回復を促すために産生されている重要な物質の可能性があります。しかし「乳酸」の作用についてはまだわかっていないこともあり、これからの研究でまた新たな事実が解明されるのかもしれません。

疲労をもたらす原因は複数あるとされています。
運動をおこなうと筋肉に蓄えられているエネルギーの元となる糖(グリコーゲン)が減少し、疲労につながります。
他には、運動時に産生される「リン酸」の増加が疲労と関係しているのではないかと推察されています。また、それ以外にもいくつかの要因があると考えられております。
では、クエン酸の摂取が疲労の軽減に効果が無いのかというと、そうでも無いようです。「乳酸」との関連ではなく、クエン酸摂取による生体内への作用は他にもあり、それらが疲労の軽減・回復につながっている可能性があります。


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