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健康と精密栄養

2023/05/19

そのほか

こんにちは、京都の訪問マッサージにこにこスタッフの森田です。


もう数年前の話になりますが、囲碁の世界上位の棋士とAI(人工知能)との対戦が大きな話題となりました。
囲碁に関しては、AIが世界ランキング上位の棋士に勝てるようになるのは、まだ先になると予想されていたのですが、その期間がずっと短縮されたことに専門家は驚いたそうです。
最近では様々な分野にAIが導入されており、その技術は飛躍的に進歩しています。これからは人の健康面と関わるヘルスケア産業・業界においても、AIの積極的な活用が推進されると思われます。

「栄養学」は健康維持を考える上で大変重要ですが、最近は『精密(プレシジョン)栄養』とよばれる分野が注目されています。
現在は、疾患を抱えている人もしくはその予防のために、栄養や食事の指導がおこなわれています。
例えば、骨粗しょう症の場合ですとカルシウム・ビタミンⅮ/K・たんぱく質の摂取が推奨されます。他には高血圧・高血糖・脂質異常症などの場合では、その症状に合った栄養/食事指導がおこなわれています。
また疾患だけではなく、年齢・性別などの要因を考慮し調整した内容となっています。

一方『精密栄養学』では、体内で栄養素が作用する時に関与すると思われる様々な要因を調べ、より詳細なデータを収集します。そして将来的には、一人一人の体の状態に適した栄養/食事内容を提案できるような枠組み作りを目指しています。

同居する兄弟や姉妹など、似通った食事内容を続けていても体格差が表れる場合があります。そして血圧や血糖値、中性脂肪やコレステロール値などにも差が表れてきます。
摂取した栄養素の作用や働きに個人差が表れることは知られていますが、まだ全ての原因(要因)は解明されていません。
それは一つではなく、様々な要因が複雑に関与していると考えられています。
それらの要因を詳細に調査しデータ化しようという試みが、アメリカで今年の春から数年間の計画で開始される予定です。

その調査では、多くの人々を対象にデータを収集し解析します。
調査人数が多くなることで情報量が多くなります。さらに個別の調べる項目(摂取する様々な栄養素・個人の体格・血液検査の数値・既往歴など)が多岐にわたることで、その情報量は膨大となります。
その膨大な情報の中から、摂取した栄養素の作用や働き、また個人差が表れる要因についての共通性や因果関係を調べる必要があります。

その関係性が詳細に解明されることにより、将来的には、一人一人にあった栄養/食事指導や提案につながることが期待されています。
しかしその膨大な量の情報から、共通性や因果関係を導き出すのははとても困難です。そこで現在著しく進歩しているAIが活用されるのではないかと思われます。

データ量が増えれば増えるほど、人間がそのデータを調べて判断するための手間や時間は大幅に増加しますが、AIは膨大な量のデータを迅速に処理することが得意です。
またAIには学習機能があるため、データ量が増えるほど正確性が向上します。
AIの碁や将棋では、人間が思いつかないような一手を打つそうです。栄養学においても、人間の解析では見落とすような共通性や因果関係を発見する可能性があります。

ただし食事に関しては個人の味の嗜好があります。例え栄養面が理想的であったとしても、実際に食事の献立に取り入れてもらえるかどうかが重要となります。
『精密栄養学』ではそういった点も考慮し、現在研究が進められているようです。
将来的には、一人一人に適した栄養素・カロリー・塩分などを計算し、更にその人の嗜好を考慮した献立を1週間分といった形で、瞬時に提示できるようになるのかもしれません。

ただし今年からアメリカでおこなわれる研究調査では、個別に栄養/食事内容の提案ができるといったところまでは考えておらず、それはまだ先のことになりそうです。
現在計画されているのは、摂取した栄養素の作用・働きに影響する複数の要因を解明し、その要因がある人々を大きくグループ分けします。
そしてそのグループごとに「健康を維持するための適した栄養/食事内容を提案する」といったところを目指しているようです。


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