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太陽光と体内時計

2023/06/09

そのほか

こんにちは、京都の訪問マッサージにこにこスタッフ森田です。


目覚まし時計を使わなくても、ほぼ毎朝決まった時刻に自然と目が覚めるといったかたがおられます。
習慣的に正確な起床リズムができているため可能なのだと思われますが、この生活リズムの習慣化には、人に備わっている『体内時計』が関係しています。
その時計機構は、人だけでなく他の動物そして植物にも存在するとされており「生物時計」ともよばれています。

体内時計は睡眠だけでなく、体温や血圧・消化吸収など代謝の調整とも関わっています。夜行性の動物の睡眠リズムも、体内時計によりコントロールされています。
ただし、機械の時計のような正確さはないため日々ずれが生じてしまうのですが、そのずれと大きく関わっている要因の一つが『太陽光』と考えられています。

数年前に海外で、光の届かない洞窟内で人が40日間過ごすといった実験がおこなわれました。その実験には15名が参加しました。
条件としては、時間を確認できる時計などは一切持ち込めません。また、眠っている他の参加者を起こすことは禁止されており、各々が自分自身の感覚で睡眠/起床します。
食事などの日常生活以外にも、洞窟内での実験や植物を育てるといった共同作業はおこなわれるのですが、時間に関しては各自の感覚をたよりに過ごします。明かりは最低限必要な照明のみを用います。

最初の頃は参加者はバラバラの時刻に眠りそして起床していました。しかし日数の経過にともない、睡眠/起床の時刻はグループとしてある程度定まってきたそうです。
洞窟内での生活に慣れリズムが作られたこと、また人の特性として集団生活をおこなうといった点が関係していたのではないかと考えられています。

驚いたことにこの実験の終了時には、多くの被験者は30日ほどしか経過していないと感じていたそうです。
個人差はあったようですが、時計のない洞窟生活では、各自の感覚は1日が24時間より長くなっていました。そのため40日間でとった睡眠の平均回数は、およそ30回程度となりました。

時間を確認できる時計がなく、さらに太陽の光が届かない環境では、正確に24時間周期の生活を送るのは難しいことがわかりました(洞窟内は湿度が100%といった特殊な環境のため、それも何らかの影響を与えているのかもしれません)
ただし洞窟内の生活でも、体内時計により生活リズムが作られることがわかりました。
この実験では15名の被験者が対象となりましたが、もっと多くの人数でさらに長期間となると、また新たな発見があるのかもしれません。実際に15名といった少人数でも、睡眠時間など生活リズムに個人差がみられました。

通常の日常生活を送る上では、地球の自転周期である24時間に合わせる必要があります。もし体内時計の個人差が大きいのであれば、1日の周期が24時間から離れている人ほど、普段から体に大きな負担がかかっている可能性があります。そういった点についてはこれからの研究でわかるのかもしれません。

地球の自転周期と体内時計の時間のずれを修正する働きが『太陽光』にはあります。
太陽光が目から入る刺激によりメラトニンの分泌が抑制されます。メラトニンは睡眠を促すホルモンであり、通常は夜間に分泌されることによって、体は睡眠モードへと切り替わります。
毎朝きまった時間に太陽光を浴びることによって、日中のメラトニンの分泌が抑制され、反対に夜間帯にしっかりとメラトニンが分泌されることで睡眠の質が高まります。

太陽光には紫外線のほかブルーライトとよばれる光が含まれているのですが、これはテレビやパソコン・スマートフォンの画面からも発せられています。
まだ明確にはわかっていないようですが、デジタル機器のブルーライトが目から入るとメラトニンの分泌が低下するといった研究結果があり、就寝前にパソコンやスマートフォンを使用することにより睡眠の質が下がるとされています。
夜間の寝つきが悪かったり睡眠中に何度も目が覚める場合には、就寝前のパソコンやスマートフォンは少し控えたほうがよいのかもしれません。

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