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握力と健康
2020/12/07
日々
にこにこスタッフ森田です。
先日TVで、「握力の強さと寿命との関連性について」といった内容の番組が放送されていました。
北九州のある自治体で、数十年にわたり住民の食事、生活スタイル、体力・健康状態などを観察し続け、それらと寿命との関係性を調べているそうです。取り組みは現在も続いており、その中で様々な発見があったのですが、一つに握力の強さと寿命とに関連性があることがわかったそうです。
男性・女性共に、握力が強いかたほど、疾病に罹患する確率が低く、寿命が長いことがわかりました。握力と寿命が関係しているのは不思議ですよね。ゲストの出演者のかたも、なぜかと驚かれていました。
私たちの仕事ではご高齢のかたと接する機会はとても多いのですが、確かにご高齢でお元気なかたは握力が強い傾向があるように思われます。
番組では一つの実験として、若いスタッフに、3週間ほとんど手は使わないないようにしてもらい、代わりに足をトレーニングし鍛えるといったことをおこなっていました。
そして、3週間後に足の筋肉量を調べると当然増えていたのですが、握力を測定するとこちらも大幅に上がっていました。人数は2人だけで、1人は握力計で10㎏ほども上がっていたので、信頼性はどこまであるのか微妙な実験でしたが、これについて、大学の先生が解説されていました。
主に肝臓で作られるIGF-1というホルモンがあります。このホルモンは膵臓で作られるインスリンと似ており、全身の筋肉合成を促進させる働きがあります。
今回の実験では、トレーニングにより足の筋肉に負荷をかけたことで発生した刺激が脳に伝わり、その刺激は脳を経由し、結果肝臓でIGF-1が多く作られます。このIGF-1は血流にのって運ばれ、全身の筋肉の合成を促します。
種類は異なりますが心臓や血管、内臓にも筋肉は存在し、これらにも働きかけます。結果として、足の筋肉をトレーニングしたことで全身の筋肉量が増え、握力も上がったとの見解でした。
ご高齢のかたにとってはある程度の筋肉量が必要です。歩いたり行動するのに必要なだけでなく、筋肉が多いことで基礎代謝が高まり、血液中の余分な糖や脂肪が燃やされます。そして骨格の筋肉だけでなく心臓や血管、内臓の筋肉量が増えることで、その機能的な働きも高まります。
研究では血中のIGF-1値が高い人のほうが糖尿病や心筋梗塞になりにくいことがわかっており、特に循環器疾患に罹患しにくいようです。
つまり、統計として長寿な人は全身の筋肉量が多いことが多く、そのかた達は握力の値も高かったとの結論でした。ですので、健康のためには握力を中心に鍛える必要はなく、全身特に下半身をしっかり鍛え、筋肉をつけましょうとのことです。
私たちの世代と比べ、現在ご年配のかたが子供の頃は、家での力仕事や農作業をする機会も多く、小さい頃に骨格や筋肉が出来上がっていたのだと思われます。農作業は握力がとても必要ですし、そういった点もご年配のかたの握力の強さと関係しているのかと思いました。
私たちがお伺いしています訪問マッサージは、加齢や病気、ケガの後遺症などにより、歩行困難でお一人での通院が難しいかたが対象となります。筋肉の麻痺や萎縮、関節の拘縮の予防や改善のためマッサージ・関節可動域訓練などをおこないます。
また、筋力の維持のため、患者様のお部屋・ベッド上で筋力強化訓練もおこないます。患者様の状態に合わせ、お一人では難しい運動も、無理なく安全にサポートいたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。