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誤嚥性肺炎
2020/12/25
日々
にこにこスタッフ森田です。
以前、口の健康についての記事を書きました。
歯の状態、口の乾燥、味覚の変化、嚥下機能の低下など様々あるのですが、その中でもご高齢の方にとって特に気を付けたいのが、誤嚥性肺炎です。
肺炎は細菌やウイルスが肺の中で増殖することで炎症を起こし、咳や痰、発熱といった症状がみられます。症状が重症化すると、呼吸困難や意識消失を起こし、亡くなることもあります。
風邪が長引き悪化することで、肺炎になると聞くことがあります。また、新型コロナウイルス感染症が重症化し、肺炎で亡くなったとニュースで報じられています。現代でも、肺炎は怖い病気の一つとなっています。
その肺炎の一つである誤嚥性肺炎については知っていたのですが、調べてみるとわかっていない点が多くありました。
最初に知った時は、口から飲み込むことがなぜ肺炎を引き起こすのか、といった疑問がわきました。肺は呼吸と関連している為、鼻から空気中の細菌やウイルスが入り込むといった勝手なイメージがあったのですが、鼻と口はつながっている為、そう考えると納得出来ました。
現在、日本で亡くなる原因の第3位が肺炎によるものだそうです。(ガン、心疾患に次いで、日本人の死因の3番目となっています)
肺炎を引き起こす原因としては、様々な病原体が関係しています。
肺炎球菌、インフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、インフルエンザウイルスなど数多く存在します。
肺炎で入院した患者を調べたところ、80代では80%、90代では95%が誤嚥性肺炎であったそうです。
私は高齢者のかたの肺炎は、風邪やインフルエンザの悪化により発症するものが多数と思っていたのですが、実際はほとんどのかたが誤嚥性肺炎ということに、大変驚きました。
したがって、高齢者にとって誤嚥性肺炎の予防は大変重要です。
誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液と一緒に含まれる細菌が、誤って気道内に入ることで起きます。若い時には、誤って入ってもむせたり咳込むことで、外部に出るのですが、年齢と共にこの働きが低下します。
物を食べて飲み込む、むせた時に咳込むといったことにも、筋肉や反射が働いており、加齢とともに食べた物・唾液が適切に食道に送られる機能が衰え、誤嚥が生じます。
ベッドで長期間静養されている方や、背筋が曲がり円背の方、また脳血管障害後遺症の方は誤嚥性肺炎を起こしやすいと言われています。就寝時に自然と気道に唾液が入りこむことがあるため、口腔内を清潔に保つ必要があります。
誤嚥の予防としては、以前紹介した、口や舌、口周りの筋肉、喉の筋肉を使い運動することが効果的です。唾液の減少も影響しますので、唾液腺マッサージも効果があります。
食事中の姿勢を整える、食事にとろみをつける、そして、口腔内を清潔に保つためのオーラルケアは大変重要です。
また、肺炎球菌ワクチンの接種も効果があるのではないかと言われています。肺炎を引き起こす細菌は何種類もあるのですが、その中でも肺炎球菌によるものが最も多いようです。誤嚥性肺炎においても、肺炎球菌が関与している可能性が高いとの事です。
一般的な肺炎と違い、誤嚥性肺炎の場合は、咳や痰、発熱といった強い症状は出ないことも多いですので、注意が必要です。
肺炎が起きていても、周囲の人やご家族のかたから見ると、患者さんの体調が少し悪く疲れているのかな、と感じるくらいのこともあるようです。
しかし、誤嚥性肺炎を引き起こすと入院が必要になることも多いですので、しっかりと予防していきましょう。