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生物学的製剤
2021/04/02
そのほか
こんにちは、にこにこスタッフ森田です。
最近ニュースなどで、「生物学的製剤」といった薬の名を聞くことがあります。
一般的な医薬品は、化学的に合成されているものが多いのですが、生物から産生されるタンパク質などを用い、遺伝子組み換え、細胞培養技術により合成された医薬品が「生物学的製剤」であり、バイオ医薬品とよばれることもあります。
原料には血液や細菌、ウイルスなどが用いられるため、一般の化学医薬品より、成分の変性や、副作用がおきやすいといったリスクがあります。
そのため、安全性を承認するための審査や、保管管理の基準もより厳しくなっているようです。
しかし、自己免疫疾患の治療では、免疫抑制作用が従来の医薬品より効果が高く、最近では関節リウマチの治療に用いられています。
現在、糖尿病治療で用いられるインスリン、C型肝炎治療で用いられるインターフェロンなども生物学的製剤にあたります。
関節リウマチ治療薬としての生物学的製剤には数種類あり、アクテムラという薬もその一つです。
このアクテムラが、新型コロナウイルス感染症に有効である可能性があると話題となり、現在も研究が進められています。
自分自身が持っている免疫システムは、外部から体内に入ってくる細菌やウイルスなどの異物に対して、攻撃し排除することで、体内での増殖を防ぎ、様々な疾患にかからないよう体を守っています。
しかし、この免疫システムに何らかの原因で不具合が生じ、本来では守る必要がある自身の体内の細胞をきずつけてしまうことがあります。
それが自己免疫疾患とよばれ、関節リウマチはその一つです。
関節リウマチでは、関節の内側に滑膜といったものがあり、免疫の異常により、この滑膜に炎症がおきます。
この炎症状態が長く続くと、しだいに軟骨や骨が破壊され、悪化すると関節の変形・脱臼までおきてしまいます。
手首や手指の関節に症状があらわれることが多いのですが、全身のどの関節にもこの炎症はおきます。手足では片側だけでなく、左右両側にあらわれることが多くなっています。
朝起きたとき、こわばりがあり動かしにくい、手足の関節が腫れ痛みがある、また体内で炎症がおきているため微熱が続く、といった症状があります。
治療は、できるだけ早い段階で始めることが重要です。症状が進んでしまうと、薬により炎症が収まったとしても、破壊された関節は元には戻らないため注意が必要です。
以前は、炎症の進行を止めるのが難しかったのですが、現在では、「生物学的製剤」など治療法が進歩しており、痛みや炎症が消失する「寛解」状態にいたるかたが多いようです。(寛解は、完治とは異なり、現段階で症状は消失しているが、再発の可能性があるため、定期的な検査や治療が必要な状態)
関節リウマチでは、症状に合わせた装具や自助具の使用、またリハビリも重要となります。
関節への負荷に注意しながら、拘縮・変形を予防するため、毎日動かす必要があります。
痛みや炎症がおさまれば、徐々に筋力をつけるための運動もおこないます。関節と同じく、筋肉も働かせないと萎縮してしまうため、軽い負荷からでも運動することは大切です。
関節の運動をおこなう前に、周囲の筋肉がこわばっている場合には、ホットパックで温める、周囲の緊張している筋肉を適度にマッサージすることで、関節への負担を軽減することができます。
関節リウマチに限らず、冷え硬まった筋肉をいきなり働かせるのでなく、ウォームアップし血流をよくしてから運動をおこなったほうが、組織へのダメージは少なく、運動の効果も望めます。
当院では、歩行が難しくご自身で通院が難しいかたのご自宅にお伺いし、筋萎縮、関節の拘縮予防のため、マッサージや機能訓練をおこなっています。
また、患者様の症状に合わせ、筋力強化訓練もおこない、現在の日常生活をしっかり維持していけるよう取り組んでいます。
患者様お一人で、もしくはご家族のかたが一緒に運動していくには、難しい点も多くあると思われます。
時間や体力的な部分、またどういった方法で運動をおこなえばよいかわからないといった点もあります。
私たちは、一人一人の患者様の症状やご希望、またご家族様のご要望をしっかりとお聞きしたうえで、施術を進めていくことを心がけています。
お困りごとやわからないことなどございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。