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間欠跛行

2021/05/07

そのほか

こんにちは、にこにこスタッフ森田です。


しばらく歩いているとお尻から足の後面にかけての痛みや痺れが生じ、椅子やベンチに腰かけて休むと症状がおさまり、また歩き出せるといった症状を間欠跛行とよびます。

この間欠跛行は、足そのものでなく他に原因があり、症状があらわれるのですが、神経系もしくは血管系に問題ある場合とにわかれます。

神経系では、腰部脊柱管狭窄症が原因となります。一方、血管系では閉塞性動脈硬化症が原因です。


首から腰、臀部にかけて脊椎(椎骨)が上下に並んでいます。
その骨一つ一つには、中心付近に空間があり、上下に並ぶことで1本の通路ができます。その通路を脊柱管という管が通っています。
その管の中に脳とつながる脊髄(中枢神経)が収まっています。

若い人や健康なかたですと、骨がきれいに並んでおり、脊柱管も真っ直ぐ通っています。
しかし、スポーツや加齢の影響で、骨や椎間板の変形、靭帯が肥厚することで、脊柱管が圧迫され狭まることがあります。
圧迫の度合いが強くなると、内部を通っている神経にも影響が出ます。
その状態が脊柱管狭窄症と呼ばれます。

中枢である脊髄からは、手足・体幹へといくつもの神経が枝分かれし、手先・足先までつながっています。
そのため、中枢の脊柱管の圧迫される箇所ににより、そことは別の部位に症状があらわれることがあります。

とくに腰の骨で圧迫がおきることが多く、その場合は、足の痛みや痺れ、間欠跛行があらわれます。
症状が進行すると足の筋力低下や、排尿障害があらわれることがあり、注意が必要です。

腰部脊柱管狭窄症により症状が出ている場合は、まずは運動療法や薬物療法、神経根ブロック療法があります。
症状が強く、進行しているときには、手術がおこなわれることもあります。

腰部脊柱管狭窄症により間欠跛行があらわれていると、前かがみの姿勢で座ることで、足の痛みや痺れが楽になります。
背筋を伸ばす・反らす姿勢では、脊柱管が狭くなり圧迫が強くなりますが、反対に、前かがみで腰を丸めた姿勢では圧迫が弱まるため、症状は軽減します。

歩行時にシルバーカーを用いると、前傾姿勢になるため、足への症状が出にくくなります。
また、自転車をこぐ姿勢も前傾となるため、腰にとっては楽な体勢です。

自転車は足の筋力運動、有酸素運動にもなるためお勧めですが、転倒のリスクがあるため、症状が強いかたには、運動施設やデイサービスなどのエアロバイクでの運動がお勧めです。
他に圧迫を軽減させるストレッチや、腰臀部・下肢の筋力を低下させないための運動も大切です。

加齢が原因の脊柱管狭窄症は、保存療法により症状の軽減は期待できますが、完全に治るかたはとても少なくなります。
年齢や現在の日常生活への影響、発症してからの時間、患部の狭窄状態により、手術の適応かどうか判断がわかれますので、まずは病院での診察・検査が必要となります。


一方、血管の疾患である閉塞性動脈硬化症でも、間欠跛行がみられます。

閉塞性動脈硬化症は、糖尿病などの原因により血管の動脈硬化が進み、血管内腔が狭まったり詰まったりすることでおきます。
全身の血管でおきるのですが、とくに足の血管で多くみられます。
足の血管が詰まり、血流が悪くなることで、痛みや痺れ、冷感を感じるといった症状があらわれます。さらに状態が悪化すると間欠跛行がみられます。

腰部脊柱管狭窄症では、お尻から太もも後面にかけて症状が出やすいのに対し、ふくらはぎに症状が出やすいといった違いがあります。
また、腰部脊柱管狭窄症が原因の場合と異なり、前かがみの姿勢でなくとも、歩くのをやめしばらく休息すると症状は軽減します。


閉塞性動脈硬化症により間欠跛行があらわれた場合も、同じく注意が必要です。
動脈硬化は、足だけでなく全身の血管でおきますので、間欠跛行の症状がみられたときは、すぐに病院に行くことが重要です。

原因となっている糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの治療をおこない、血管がつまることを防ぎ、同時に足への血流を増やすための運動も必要となります。

運動をおこなうことで、代謝がよくなり、血液の状態の改善につながります。また、血管全体(とくに細い毛細血管)の血流も大きく改善します。
1本の毛細血管に流れる血流量は僅かですが、全身には毛細血管が無数に張り巡らされており、総量はとても大きくなります。


間欠跛行の症状がでることで、歩いたり運動する機会が減少するかたもおられます。
しかし、どちらの疾患が原因であっても、筋力(とくに下肢の筋力)の維持のためには、運動はとても重要となります。


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