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運動時の呼吸

2021/06/11

そのほか

こんにちは、にこにこスタッフ森田です。


体を動かし運動するには、筋肉が収縮・伸展し働く必要があります。
食事から摂取、もしくは体内に蓄えられた糖や脂肪を燃料とし、筋肉の活動に必要なATPというエネルギー源が作られています。
ATPが分解される時にエネルギーが発生します。元々のATPの蓄えは少ないため、減少すると糖や脂肪を原料とし再合成されます。


運動には有酸素運動無酸素運動があります。

有酸素運動はウォーキング、ジョギング、水泳など長時間おこなう運動のことで、そのために必要なATPは、糖、脂肪そして酸素を用いて作られます。

一方、無酸素運動は、100メートル走や重量挙げ、筋力トレーニングなど強度が高く、短時間に大きな力を発揮する運動にあたります。
グリコーゲン(糖)やクレアチンリン酸の分解によりATPを作りだすのですが、その時酸素を必要としないため無酸素運動とよばれており、呼吸を止めておこなう運動のことではありません。

100メートル走でゴールした後、しばらくの間は呼吸は荒くなります。

全力で走っている間は、まずは酸素を用いずにATPが作られ、エネルギーが産生されます。
しかし酸素無しでATPを作り出せる量には限りがあるため、有酸素によるATP合成も加わります。
それでも、急激に大きなエネルギーが消費されるため、ATPの合成が追いつかなくなります。
その状態で走りきりゴールするのですが、体は大量に消費されたATPを再合成するため、不足している酸素を多量に取り込もうとします。

その働きにより、ゴールした後も荒い呼吸がしばらく続いてしまいます。
この時、普段より大きく心拍数や血圧が上がります。
したがって、ご高齢のかたや循環器系の疾患があるかたは、無酸素運動より、有酸素運動が適しているといわれます。

しかし、無酸素運動と有酸素運動は完全に線引きされるわけでなく、中強度の運動時には、どちらも交互におこなわれています。

有酸素運動は体脂肪の燃焼に適していますので、血中の中性脂肪やコレステロール値が高いかたなどに向いています。

一方、無酸素運動時は脂肪でなく主に糖が燃料となっているのですが、強度の高い運動により筋力・筋肉量の増加につながります。

筋肉量が増えると、基礎代謝が上がります。
基礎代謝が上がると、運動時以外の日常生活でのカロリー消費が高まりますので、結果的に、無酸素運動もある程度の体脂肪燃焼につながります。

また、有酸素運動だけでなく、無酸素運動をおこなうことでも循環機能は向上します。
ご高齢のかたであっても、その人の体調を充分考慮したうえで、筋力トレーニングなどの中強度の運動を取り入れることは、健康維持のためには大切です。

運動前の血圧、体調の確認はとても重要であり、充分な注意が必要です。
ただし、筋力トレーニングでは、ある程度の負荷をかけなければならないため、血圧など多少の変動はみられます。

筋力トレーニング中に気をつける点として、呼吸は止めずにおこなうことが大切です。
テレビでも健康のための運動や体操を紹介されていることがありますが、必ず呼吸は止めずにおこなってくださいと一言添えられています。

筋力トレーニングをおこなうと、多少は血圧や心拍数が上がるのですが、呼吸を止め、いわゆるいきんだ状態になりますと、数値はさらに上がり、心臓や血管に大きな負担がかかります。
したがって、健康のために筋力トレーニングをおこなう上では、必ず呼吸を止めずにおこなうことが大切です。

吸う・吐くタイミングをどのように合わせるかは、運動の動作により異なるのですが、基本は力を入れる時は「フー」と吐くようにおこなうと、合わせやすくなります。

ちなみにパワーリフティングや重量挙げでは、持ち上げる瞬間は完全に呼吸を止めています。
呼吸を止めたほうが確実に瞬発力は上がります。実際、数百キロのバーベルを、ゆっくりと息を「フー」と吐きながらではとても持ち上がりませんし、かえって危険をともないます。
ただし、日頃から鍛え続けている選手でも、競技中に一瞬失神することもあるようですので、呼吸を止め最大瞬発力を発揮することは、心臓や血管には相当負担となっているようです。


また、普段から呼吸を止めて力を入れる習慣があると、歯ぎしりやくいしばりのくせにつながることがあります。
引退後のスポーツ選手は奥歯が擦り減っているかたが多いそうです。
それは、一瞬に集中し最高のパフォーマンスを発揮するため、呼吸を止め「グッ」と奥歯を噛みしめる行為が習慣化していることが原因といわれています。
歯を痛めないよう、競技中はマウスピースをする選手もいます。


加齢とともに酸素・二酸化炭素のガス交換をおこなう心肺機能は少しずつ衰えます。
ただし、呼吸の働き全体に関係しているのは、心臓や肺といった臓器だけでなく、横隔膜や胸郭の筋肉、首の筋肉、腹筋なども関係しています。また姿勢も影響します。

筋肉や姿勢に関しては、ご年配のかたでも、運動やリハビリによりアプローチができます。
運動することで、手足の筋肉のような分かりやすい効果はみられませんが、少しずつでも続けていくことで、呼吸機能全体への改善へとつながります。


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