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メイラード反応

2021/07/30

そのほか

こんにちは、にこにこスタッフ森田です。


カレーを作る時に、先に刻んだ玉ねぎをじっくりあめ色になるまで炒めることで、味が良くなると聞き、何度か試したことがあります。
鍋の中で焦がさないようにしゃもじでかき混ぜ続けていると、徐々に色が変色し、あめ色になってきます。
数十分かき混ぜ続けるので、腕も疲れますが、その手間をかけたためか、カレーもおいしく感じました。

この玉ねぎを炒めるとあめ色になる現象は「メイラード反応」というものが関係しているそうです。
糖とアミノ酸が、加熱により化学反応し、褐色物質が生成されます。
このメイラード反応には、複数の化学反応が関係しており、説明を読んでもよくわからないのですが、調理や食品加工に多くの影響を与えています。

肉を焼くことでの褐色への変化、コーヒー豆の焙煎、黒ビールやチョコレート、味噌の色味もメイラード反応によるものです。
メイラード反応が起きることで、香り成分が生成されます。
玉ねぎを炒めることでカレーの味が良くなる理由は、この香りによるものかと思われます。


食品の調理・加工においてメイラード反応は重要で、プラスに働く点が多くあります。
一方、メイラード反応は人の体内でも起きているのですが、こちらは人の老化の進行に影響するようです。

人の体内で、糖がアミノ酸や脂質と結合・反応することは、「糖化反応」とよばれます。
この生体内での糖化反応は数多くあり、その一つにメイラード反応があります。
人の体の老化を早める原因の一つに活性酸素があり、その影響を「体がさびる」といった表現をされることがありますが、糖化反応による影響は「体がこげる」といった表現をされています。

糖化反応の全てが、人の体に悪影響を与えているわけではないのですが、老化の進行に関係しているといった研究結果が数多く出てきています。

糖質を食事から摂取しますと、多くはエネルギー源として使われます。
余った分はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられます。また中性脂肪に変化させ、必要な時に利用されます。
しかし、糖質の摂取し過ぎや、活動での消費が少ない状態が続きますと、体内の糖分の量が多くなり過ぎてしまいます。

糖は反応性が高く、体内の組織のタンパク質(アミノ酸)と反応します。これが糖化反応です。
体内のタンパク質と糖化反応が起きると、タンパク質本来の機能が失われ、その組織の働きに弊害が出てしまいます。
人の体には、そうならないように、体内の糖分の量(血糖値)を一定に保つための仕組みが備わっています。
食後に血糖値が高くなると、膵臓からインスリンが分泌され、細胞に糖が取り込まれ、血糖値が低下します。

しかし何らかの原因で、膵臓の機能が低下し、インスリンが充分に分泌されず、血糖値が高くなり過ぎた状態が糖尿病です。

健康診断で、採血・採尿により空腹時血糖値、尿の中に糖が出ていないかどうかを調べます。
また採血の検査項目にHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)といったものがあり、こちらも糖尿病の検査として重要となります。

このHbA1cとは、血液中の「糖化反応したヘモグロビン量」を調べています。
ヘモグロビンは赤血球に含まれており、肺で取り込まれた酸素を体全身の細胞に運ぶ働きがあります。
赤血球(ヘモグロビン)は骨髄で産生され、血液の流れにのって全身を巡り、およそ4か月で寿命を終えます。
このヘモグロビンはタンパク質で出来ているため、全身を巡っている間に糖と結合することがあります。

血液中の糖の量が多いと、それだけ糖化反応したヘモグロビンの量も多くなります。
空腹時血糖値は一時的な数値を調べているのですが、HbA1cの値では過去1~2か月の平均的な血糖値がわかるといった利点があります。
そしてその値が高いということは、1~2か月の間、ヘモグロビンだけでなく、生体組織のタンパク質の糖化反応が進んでいた可能性が示されています。

血糖値が高い状態が続きますと、血管が傷付きいたんでくるのですが、これも糖化反応が関係しています。
また、糖化反応により、動脈硬化の進行、白内障、骨の軟化、肌の弾力の消失がおきると考えられています。

糖質は大切な栄養素の一つです。
成長期の子供は、基礎代謝・消費カロリーがとても高く、糖化反応した不要組織の除去機能も活発なため、それほど悪影響しません。
しかし、年齢を重ねるとともに、摂取した糖分が体内で余剰となりがちですので、摂取量の調整と、運動や活動にて意識的に消費することが大切となります。


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