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血糖値と運動

2021/09/03

そのほか

こんにちは、にこにこスタッフ森田です。


以前に体の中でおきる『糖化反応』について書きました。
『糖化反応』が過剰におきると、体の組織が本来もっている機能が失われ、老化の進行にもつながると言われています。

体内に余分な糖があふれると、『糖化反応』が進んでしまうため、食事で糖質を摂り過ぎないようにする工夫が必要です。
体内の糖の量が多すぎないかどうかは、血糖値の値が参考になります。

血糖値の値が高い場合には、食事の調整と運動が必要です。
糖尿病のかたは、更に処方薬が必要となります。

血糖値が高めのかた、糖尿病のかたも運動が必要となるのですが、運動には様々な種類があります。

血糖値を下げるためには、『有酸素運動』『レジスタンス(筋力)運動』とどちらが向いているのかを調べた研究があり、結果としてはどちらにも効果があることがわかりました。
また、両方おこなうことにより、更に効果が高くなります。


健康のための運動としてまず思い浮かぶのは、ウォーキングや散歩です。
また体力に余裕があり、ジョギングやサイクリング、水泳などされているかたもおられます。

これらの運動は有酸素運動です。
強度は低めですが、長時間続けることができ、血糖値を下げる効果があります。また、有酸素運動は脂肪の燃焼にも適しています。

食後に一度血糖値が上がりますので、食後1~2時間後に軽く散歩をおこなうと、効率よく糖分が消費され、血糖値の上昇を抑えられます。


一方、筋力運動は強度が高くなるため、ウォーキングや散歩のように長時間連続しておこなえません。
筋力運動中は脂肪の燃焼はあまり期待できませんが、エネルギー源として糖分が優先的に使われますので、血糖値を下げる効果はあります。

筋力運動をおこなうことで、筋肉量は増加します。
筋肉量が増えると基礎代謝が上がります。
座っているときや寝ているときなども24時間、基本的な生体活動は続いており、この生体活動に最低限必要なエネルギーが基礎代謝量です。

通常、運動時間よりそれ以外の時間のほうが長くなりますので、基礎代謝が上がることで、消費カロリーは高くなります。
基礎代謝が上がると余分な糖や脂質が燃焼されやすくなります。
その状態で有酸素運動をおこなうことで、更に効果があらわれます。

筋肉量を増やすためには、大きな筋肉を鍛えることが効果的です。
足の太もも、ふくらはぎは、筋肉全体のなかで占める割合が高いため、足の運動をおこなうことで、全身の筋肉量が増え、基礎代謝も上がります。


血糖値が慢性的に高いかたやⅡ型糖尿病のかたは、インスリン抵抗性が高まっていることが多くあります。
通常のかたより、インスリンが効きにくくなっている状態です。
インスリンの作用により、血液中の糖分が、筋肉や肝臓に取り込まれるのですが、効きにくくなっているため、膵臓からインスリンが分泌されているにもかかわらず、なかなか血糖値が下がりません。
それでも血糖値を下げようと、更にインスリンを分泌させるため、膵臓には負担がかかってしまいます。

このインスリン抵抗性は、有酸素運動・筋力運動どちらの運動をおこなった場合も、改善の効果がみられることがわかっています。
運動により、余分な糖分を消費するだけでなく、インスリンが効きやすくなるため、血糖値は下がりやすくなります。


また運動の効果は、体内にある脂肪細胞にも影響します。
全ての人に脂肪細胞は存在するのですが、肥満状態は、この細胞が増え肥大化してしまった状態です。

体重が増えると関節に負担がかかり、心肺機能にも悪影響があります。
それに加え、肥大化した脂肪細胞では、様々な炎症物質が産生されるようです。
通常の脂肪細胞では、炎症を抑える物質が産生されるのですが、肥大化することで、反対に炎症を促す物質が多く産生されます。

この炎症物質の影響は体全身に及び、糖尿病や他の生活習慣病の発症との関連がわかってきています。
メタボリックシンドロームが生活習慣病につながる理由として、この炎症の影響が大きいと考えられているようです。
したがって、運動により消費カロリーを増加し、肥大化した脂肪細胞を通常サイズに戻すことで、生活習慣病の予防につながります。


運動は、こういった様々な側面から、血糖値のコントロールに働きかけ、改善へとつなげます。
もちろん食事による糖分の摂取量の調整も必要ですが、食事を制限するだけではなかなか続きませんので、運動とどちらも大切となります。

散歩やウォーキングなどの有酸素運動は、天候に左右されやすいといった点があります。梅雨時期など、雨が続くような日でも、できるだけ毎日運動をおこないたいところです。
ストレッチ効果や、姿勢の改善にもつながりますので、屋内でのラジオ体操を習慣にするのも良いかと思われます。

筋力運動に関しては、まずは簡単なものから始められることをお勧めします。
天候が良い日は、屋外にて有酸素運動をおこない、雨の日には室内で筋力運動されることで、有酸素運動時の効果も高まります。

また、歩行が難しく、外出して有酸素運動が難しいかたの場合は、座った状態でのラジオ体操や、柔軟体操、室内での筋力運動を習慣化されると良いかと思われます。
そういった室内での運動を続けることで、血糖値や健康状態の改善効果が期待できます。


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