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アミロイドベータ

2021/06/18

そのほか

こんにちは、にこにこスタッフ森田です。


先日のニュースで、アルツハイマー病(型認知症)の治療薬が、アメリカで承認されたと報じられていました。
日本の厚生労働省と似た役割を担っている、FDAと呼ばれるアメリカの政府機関にて承認されました。
審査の段階では、薬の効能について否定的な意見も出ていたようで、承認後も効能・副作用を確認するための臨床試験は続けられるそうです。

開発には日本の製薬会社が関わっており、すでに日本国内での承認のための申請も出されています。

現在、アルツハイマー病の進行を遅らせるための対症療法的な薬は数種類あります。
しかし、今回開発された薬は、病気の原因となる物質に直接働きかけ、除去できるといった点が画期的であり、大きな話題となっています。
この薬は『アデュカヌマブ』という名前で、遺伝子組み換え技術を用いたバイオ医薬品(生物学的製剤)となります。

ちなみに最近話題となる薬には『~マブ』といった名前がよくみられます。
ノーベル賞の受賞により有名となった『オプジーボ』は別名『ニボルマブ』という名前があります。
オプジーボは商品名であり、ニボルマブが一般名となります。これは、バンドエイドという名は企業がつけた商品名であり、一般名は絆創膏と呼ばれることと同じです。

他にトラスツズマブやアダリムマブなど、読みにくい名前の薬が沢山あります。
この『~マブ』は免疫の抗体に関係する「抗体医薬品」の中でも、モノクローナル抗体に対して付けられています。


アルツハイマー病(型認知症)は、認知症の一つとしてよく知られています。
認知症には、他に血管性認知症、レビー小体型認知症などがありますが、アルツハイマー病は、日本では認知症患者の6~7割を占めていると言われ、最も多くなっています。
そのため、今回の薬は大きく注目されています。

ただし、この薬の研究開発には多額の研究費がかかっており、またバイオ医薬品として製造過程が複雑で手間もかかるため、相当高額になると報じられています。
1人あたり年間600万以上とも言われ、例え日本で承認されたとしても、医療保険適用となる可能性は少なく、まだ現段階では広く利用できる状態ではないかもしれません。

しかし、更に研究開発が進むことで、効能や安全性も詳細に解明され、価格も下がり、多くの人が利用できるようになることが期待されます。


このアルツハイマー病の薬が直接作用し働きかけるのが、『アミロイドベータ』と呼ばれるタンパク質です。

アルツハイマー病がおきる原因として、この『アミロイドベータ』や『タウタンパク』といったタンパク質が脳に蓄積するためであると考えられています。
とくにアミロイドベータが蓄積すると、脳の神経細胞が障害され変性・脱落し、徐々に脳が萎縮してしまいます。
それが進行すると、記憶・思考などに障害があらわれます。

そのため、このアミロイドベータの蓄積を防ぐことが、アルツハイマー病の予防となり、除去することにより改善を目指すのが今回の薬となります。

アミロイドベータは短期間で蓄積させるのではなく、10年20年といった長い期間をかけて徐々に蓄積されると考えられています。
なぜアミロイドベータが蓄積されるのか、詳細な仕組みについてはまだわかっていないようですが、アルツハイマー病の発症の要因として、年齢・遺伝的因子・また糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病が深く関係していることがわかっています。

多くの病気の発症要因が生活習慣病と関わっていることは知られており、そのためには、バランスの取れた健康的な生活を送りましょうといった結論になるのですが、脳の認知機能に関しても同じようです。
ただし、普段の生活習慣・環境とアミロイドベータの蓄積の関係については、研究が進められており、具体的に何が予防につながるか、といったことも少しずつわかってきていますので、その点についてはまた次の機会に書いてみたいと思います。


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