ブログ・お知らせ

ブログ・お知らせ

アミロイドベータ2

2021/06/25

そのほか

こんにちは、にこにこスタッフ森田です。


前に、アルツハイマー病(型認知症)の新薬が承認されたことについて書きました。
この薬は、アルツハイマー病の原因と考えられる『アミロイドベータ』というタンパク質に直接作用し、除去するといった点が大きな話題となっています。
現在までもいくつかの薬は出ているのですが、病気の進行を遅らせる対症療法としての効果に限られています。
一方今回の薬は、原因物質と考えられるアミロイドベータに直接作用するため、早期に使用することで、病気の発症を抑制できるのではないかと期待されています。

ただし、承認された後も臨床試験は続けられ、有効性や副作用などについては、より詳細なデータが必要とされているそうです。
日本では申請の段階であり、また薬価が高額となるため、広く一般に使用されるためには、まだ先になると思われます。

アミロイドベータが脳に蓄積することで、神経細胞が変性・脱落すると考えられています。
その状態が進行すると、画像所見でわかるほど脳が萎縮してしまい、思考や記憶といった機能に影響がおきてしまいます。

そのため、増加したアミロイドベータを除去できると、脳の神経細胞を守ることができるのですが、まずは何より、このアミロイドベータを蓄積させないことが大切です。


アミロイドベータが生成・蓄積する仕組みはまだ詳しくはわからないようですが、加齢・遺伝的要因・生活習慣病の有無との関連性があることがわかってきています。
また、アルツハイマー病が発症する10年~20年前からアミロイドベータの蓄積が始まっていると考えられています。


アミロイドベータは脳だけでなく、体全身で作られます。
しかし、人の体にはこのアミロイドベータを分解・排出する機構を兼ね備えています。

問題となってくるのは、アミロイドベータが作られる量が、分解・排出能力を上回り、体内に蓄積され始めることです。
そうならないために、出来るだけアミロイドベータを作らせず、分解・排出能力を高めておくことが大切です。


加齢が進むと、どうしても体全身の代謝機能が低下しますので、アミロイドベータは蓄積しやすくなります。

高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病により、認知症全般のリスクが高くなることがわかっているのですが、とくに糖尿病や高血糖状態が続くと、そのリスクは高まり、アミロイドベータも蓄積されやすくなります。

食事から糖分を摂取すると、血糖値は上がります。
すると、すい臓からインスリンが分泌され、血液中の糖分が細胞に取り込まれ、血糖値は下がります。
正常に『インスリン』が働くことで、血糖値の上下変動の幅は一定の範囲内で収まっています。

すい臓から分泌され、一旦働きを終えたインスリンは、『インスリン分解酵素』により分解されます。
このインスリン分解酵素が、インスリンだけでなく、アミロイドベータも分解する働きがあることがわかってきました。

この酵素がしっかり働いていると、例えアミロイドベータが作られても、分解し減らしてくれますので、蓄積を防ぐことができます。
ところが糖尿病、高血糖状態が続いているかたの場合は、健康なかたより血糖値が高い状態が続くため、それを下げようとインスリンが多量に分泌され続けます。
すると、働きを終えたインスリンも多量なため、分解するための酵素も多量に必要とされます。

この状態ですと、不要となったインスリンの分解にばかり用いられるため、アミロイドベータの分解にまで手が回りません。


また、アミロイドベータの排出は睡眠中に促されることがわかっています。
睡眠中は、脳にたまったアミロイドベータの排出だけでなく、覚醒中に入力された情報の整理などもおこなわれます。

他には、運動をおこなうことでも、アミロイドベータの排出が促されます。
以前は有酸素運動がとくに推奨されていましたが、最近の研究では、筋力運動を追加することで、より効果が高まることがわかっています。
この点については、血糖値や中性脂肪の改善といった健康全般においても同じことがいえます。

また、マウスでの研究段階ではあるようですが、オリーブオイルを与えたマウスはそうでないマウスと比較して、脳内のアミロイドベータの蓄積が少なかったそうです。

アミロイドベータの分解には酵素が必要ですが、排出には血流が関係しています。
運動や睡眠、そして血圧や血糖値と関連がみられることからも、アミロイドベータを蓄積させないためには、良好な血管・血液・血流を保つことがとても大切です。


< 戻る