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アミロイドベータ3
2021/07/02
そのほか
こんにちは、にこにこスタッフ森田です。
アルツハイマー病(認知症)の薬のニュースが大きく取り上げられました。
2025年問題など、日本ではますます高齢化社会が進むなか、この先多くのかたに必要とされる分野になると言われています。
今回の薬はアルツハイマー病の原因と考えられている『アミロイドベータ』に直接作用し、除去するといった点が画期的であり、この薬の開発により、他の製薬会社などでも加速度的に研究開発が進むことが期待されています。
ただし、現段階でも効能・副作用の確認のための臨床試験は続いており、薬価は大変高額なため、多くの一般のかたが使用できるようになるには、まだ時間がかかりそうです。
そのため、まずは生活習慣の改善などで、『アミロイドベータ』を蓄積させないことが重要であり、それには食事・運動・睡眠のバランスが大切となります。
そういった内容は以前に記したのですが、他にアミロイドベータの蓄積に関係するとみられる新たな要因が、研究によりわかってきたようです。
その一つが『歯周病』です。
今はまだマウスでの研究段階のようですが、マウスに歯周病菌の投与を続けると、脳内のアミロイドベータが大幅に増加しました。
マウスの体内では、侵入した歯周病菌に対して、白血球などの免疫細胞が働き、これを攻撃します。
数が少なければ、歯周病菌の増殖はすぐに抑えられるのですが、これが多量の歯周病菌ですと、免疫細胞も多数出動する必要があります。
歯周病菌と免疫細胞が戦っている状態が『炎症』で、戦地のような状態となります。
炎症部位では、発赤、熱感、疼痛、腫脹、機能障害の症状がみられます。
歯周病になっている歯肉(歯茎)の状態は、赤く腫れ、むず痒いような痛みがあり、出血がみられます。
入ってくる歯周病菌が多く、炎症部位が広がってしまうと、それに対して免疫細胞も過剰に活動を始めます。
いわゆる「免疫細胞が暴走している」状態です。
暴走した免疫細胞は、侵入した菌やウイルスに対する攻撃力が高いのですが、誤って自身の細胞も攻撃することがあります。
歯周病菌が増えすぎると、血液に混ざり、口内から全身へと運ばれます。
すると、元々は口内の歯周組織で起きていた炎症が、全身の臓器へと広がり、体全身で免疫細胞が暴れる状態となってしまいます。
炎症が全身に広がることは、体にとっては悪影響であるのですが、更に良くないことに、炎症部位でアミロイドベータが生成されることが確認されています。
炎症部位が広がるとアミロイドベータの生成が増加し、体内で蓄積されていきます。
一方、脳には血液脳関門とよばれる機構が存在します。
脳は重要な臓器ですので、不要な物質が入りこまないよう、この血液脳関門がフィルターのように働き、脳の健康を保っています。
したがって、例え他の臓器でアミロイドベータが多量に生成されたとしても、脳には入りこまないと考えられていました。
しかし、歯周病菌が作り出す物質の作用により、アミロイドベータがマウスの血液脳関門を通過してしまうことが確認されました。
歯周病菌が増えることで炎症が広がり、アミロイドベータは多量に生成されます。更にそのアミロイドベータが脳に入るための手助けをしているようです。
これは、マウスでの研究により確認されたことですが、もし人の体内でも同じ現象が起きているとすると、歯周病菌はかなり厄介な存在となってきます。
歯周病菌は、現在の多くの研究により、人に対して様々な悪影響を与えることがわかってきています。
元々歯周病菌は、歯や歯周組織を悪化させるものと考えられていましたが、炎症部位から血液に入りこみ、全身へと広がり、心筋梗塞、脳梗塞、誤嚥性肺炎、骨粗しょう症、関節炎、誤嚥性肺炎などを発症・悪化させる原因にもなっています。
人の体での、歯周病とアルツハイマー病の関連性はまだ仮定の段階ですが、体全身の健康維持にとって、歯や口の中を健康に保つことは非常に重要なようです。
毎日、歯磨きやオーラルケアを丁寧におこなうことは、正直面倒な時もありますが、しっかりおこなっていこうと思います。